ある日、森の中

思ったこと、考えたこと、調べたこと、経験したこと

死産後の生活15:痔と流産の話

もうだいぶ期間が経ってしまったけれど、年末に流産した。

 

死産から妊活に向き合えずにいた期間が半年ほど、なんとなく気が向いてきたのがそこから半年、思い立って不妊治療クリニックでタイミング&人工授精をやってみたのが半年強、コロナが始まり治療になんだか失望したのも重なって、そのまま自力妊活を断続的に続けていたのが1年半くらいで、流石にそろそろ体外受精か養子縁組か海外移住か検討しないと・・・と思っていた矢先の妊娠。

 

私達にまだこんなポテンシャルが残っていたとは、という驚きが一番だった。

 

産婦人科で子宮外でないことを確認し、2週間後に心拍確認の予約をした。

これから2週間、気にしてもしょうがないし、不安になるだろうし、なんかいろいろ楽しいことをやって考えずに済むように過ごそう…と思っていたら、突然の痔の発症。

 

これまでたまーーに出血はあったけど水分を摂ったらもとに戻ったし、人間ドックの大腸に引っかかって内視鏡検査したら「うーん、ちょっと痔かな」と医者に言われたことはあった。ふーんとしか思わず、自分の体なのにどこか遠い世界のことだと思っていた。

 

痔。

まごうことなき痔主になった。

 

とりあえず、LINEの痔スタンプを買って妹に連打したら、「スタンプよりボラギノール買え」と至極真っ当な返信がきた。

一応まだ妊婦候補だったので、市販薬ではなく産婦人科に行って薬を所望すると、何痔かも聞かれずに20秒で診察が終わって軟膏と薬が出された。やっぱり黄門科にいくべきだったか…と思いながら調剤薬局に行き、薬剤師のお姉さんにイボと軟膏の相談をしてたらめちゃくちゃ笑いがとれた。お姉さん、「長い闘いになると思います」って励ましてくれてありがとう。でも、結局2週間足らずで終わってしまいました。

 

妊婦は痔になりやすいという話はよく聞くけれど、どうやら妊娠後期の話らしいですね。胎児が大きくなってお腹の中のいろいろを圧迫して、その結果、痔になるとか。

つまり、妊娠反応が出たレベル時点での私のこの痔は、すでにあった痔が前面に出てきたということなんですよね。

 

そんなことを調べたりドーナツ座布団買ったりしていたら、妊娠が続いているか不安になるとか涙が止まらないとか、そういう事態には陥らずに2週間を過ごすことはできた。代わりにイボに苦しめられた。

 

そして、心拍確認の日、心拍は確認されなかった。

 

妊娠反応は出たけれども心臓は形成されなかった、というのは、結局、命の形成には至らなかったってことじゃんと考えながらも涙は止まらず、しかし、流産手術の説明は聞かなければならず、よくわからんまま採血されて書類をもらって日程を決めて帰ってきた。

たくさん泣いた。何に泣いているのかよくわからなかった。

ただ、何も考えないようにしようとは思いつつ、

もし妊娠してたら、来月のこの仕事は断らないといけないなとか、

もし妊娠してたら、何月頃から休みだなとか、

そんな周辺のことをイボの合間をぬってやっぱり考えていた。そういう意味では私の中にすでに赤ちゃんの輪郭くらいはうっすらできていたのかもしれない。

 

あと、以前の死産のこともまた思い出されたことがしんどかった。なんなら今回の流産に悲しんでいるのか、以前の死産の思い出し泣きなのか、区別がつかなかった。もうすでに3年以上経って、なんとか元気になったゼと思って暮らしているけれど、いとも簡単に引き戻されてしまった。

仕事上、乳幼児や親子連れに会うことがときどきあって、微笑ましく眺められるようになっていたというのに、久しぶりに勘弁してくれという気持ちにもなった。

 

ただの痔主になったなぁと思っていたら、痔はいつの間にか治っていた。

流産手術も終わって、あの痔だけが私が妊娠していた印だったのに…とまで思えるほど良いものでもないので、さっさと治ってくれてよかったけれど、もしまた妊娠できたら再発するんだろうか。

私はまた妊娠するんだろうか。

妊娠したとして継続するんだろうか。

不妊の上、流産と死産に怯えつつ、痔までついてくるなんて、ますます妊娠出産の喜びから遠のいた。