ある日、森の中

思ったこと、考えたこと、調べたこと、経験したこと

死産後の生活14:3年が経ち、ケーキを4個食べた

世界は2つの時期に分けることができる。
赤ちゃんが生きていた期間と死んだ後の期間だ。

 

夏の終わりは、我が子が生きていた期間が終わってしまう瞬間を含む季節で、命日のあとに誕生日がやってくる1週間だ。でも不思議なもので、仕事中などはそのことが全然頭になく、打ち合わせの予定などできる限り命日や誕生日には入れたくない、と家では思っているのに、仕事になるとすっかり忘れて用事を入れてきてしまう。帰ってきてから「しまった、別にこの日でなくてもよかったのに・・」と思い出す。仕事中は完全に心と頭が乖離している。なんて薄情なんだ私はとつい思ってしまいそうになるけれど、これは日常生活をなんとか送るための心の働きらしい。人間の心は不思議だ。平気のヘイチャラになってきた気がしていたが、やっぱり心を殺して、歯を食いしばっているところがまだあるようだ。

 

誕生日当日。

夫が遅い日なので、去年のようにケーキは買ってこられなかろうと思い、仕事帰りにショッピングセンターのケーキ屋に寄った。誕生日なので、本来ならケーキは3個もしくはホールであるべきなんだろうけど、実際食べるのは大人2人なんだし、もう夜も遅いし…と超現実的に考えて、「3」のロウソクとケーキを一切れ買った。シャインマスカットのケーキもイチジクのケーキも残念ながら売り切れだった。

ところが、遅いと言いつついつもよりは早く帰ってきた夫、なんとケーキを買ってきていた。しかもちゃんと3個。同じ形の「3」のロウソク。これでは我が子は33歳だ。

夫曰く、なんとか職場の近くでまだやっているカフェ併設のケーキ屋を見つけ、駆け込んで買ってきたとのこと。ケーキ3つと「3」のロウソクを買ったら、店員に話しかけられたそうで、

 

「お子さんがいらっしゃるんですかぁ?」(笑顔)

「はい」(真顔)

「3歳ですか?」(笑顔)

「はい」(真顔)

「そうなんですかー。一番可愛いときですよね!」(めちゃくちゃ笑顔)

「はい」(真顔)

 

という会話を繰り広げてきたらしい。私だったら絶対泣いてる。

 

夫は他の人と、赤ちゃんが生まれたとか誕生日という内容で話をしたことがないらしい。確かに、私も仲の良い友達にしか、誕生日としては話していない。他の人からしたら、赤ちゃんは亡くなった、という理解だろう(いや正しいんだけど)。

生きていたし、確かに産まれてきたんだよ! 亡くなってたけど!

3年経って、誰にぶつけたらいいのやらよくわからない感情がまだある。

産休に入った職場の後輩よ、出産報告を職場全体のメールで送ってくるのはやめてほしかった。

泣くことは減った。というかほぼない。

どちらかというと普段は、まだ妊娠しないことにも困っている。

実は元々妊娠しづらい体質で、たまたま奇跡の1回が3年前に来たっていうことだったのか・・・?

そろそろ養子や里親という選択肢を真剣に考えてみよう、という話をしながら、2人で3年目のケーキ4個を食べた。