ある日、森の中

思ったこと、考えたこと、調べたこと、経験したこと

不妊治療に行き始めた

死産から1年ちょっと、妊活を再開してから半年が経った。

「次の年は妊娠しやすい」というのは嘘か真か。死産した1年以内に妊娠したという方をTwitterで見たり、リアルにも1人きいたりしたので、なんとかなるかなと思っていたが、今のところどうにもなっておらず、毎月トイレで「やぁ、またお会いしましたね…」と挨拶を交わすばかり。

 

不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。

(日本産婦人科学会ホームページ)

ただし、35歳を過ぎたら半年妊娠しなければ治療に行った方が良い、という話もあり、以前の妊娠は30代半ばだったけれども、今や立派な30代後半になったことを自覚して、行くべきではないかと思い立った。 

・・・のが8月後半。近所を調べてみて、隣の大きな市にある不妊治療専門クリニックが遅くまでやってて良さそうと思い、一度電話したところ、

「生理の直後か、排卵の少し前に来てもらえたら、せっかく来ていただくので検査もできた方がいいと思いますよ」

と言われ、生理の直後はわかるけど、排卵の少し前って、それを教えてくれるために行くんじゃないのかよーと思って、初めてのことに不安が強い私は混乱したのだった。

 

そして、今回妊娠してるかもしれないしーと悪足掻きをして、今月は様子見ようと思い、結局、ただ時間が流れただけに終わった。「様子見」と言う時って、大概、ただやりたくない時だよなと実感。まあ、心構えの時間が必要なこともある。

 

受診

それでもぎりぎりまで何かに抵抗し、診察受付のほぼ最後の時間に滑り込んだ。予想はしていたけれど、待合室にたくさんの人。ほとんどが女性、ときどき配偶者らしき男性、稀に子ども。ああ、ここにいる人たち、みんな、子どもができないことに困ってここにいるんかな…と思うと、なんだか元気が出た。心の仲間は大事だ。不妊治療専門クリニックなので、妊娠したら基本的には一般の産婦人科に移っていくため、少なくともお腹の大きな妊婦さんを見かけることがないのも良かった。出産も対応している産婦人科で、不妊治療もしてますというところがあるけれど、待合室で妊婦見ながら不妊治療に通うのは、私だったらしんどい。

問診票に、結婚期間や不妊の状況を書く欄があり、

  • 避妊していないが、妊娠しなかった
  • 妊娠はしたが、流産した

という選択肢があったので、二つ目にチェックを入れ、余白に「死産」と書き込んだ。週数も書いたのでわかるだろうけれど、選択肢の文章にも入っていないあたり、やっぱり数も多くはないのだろうか。ないことにされてしまうようで悲しい。

 

看護師の説明

ネットで一通り読んで、なんとなくわかっているつもりだったけれど、いざ、自分ごととして、排卵・受精・妊娠の仕組み、基礎体温、血液検査、フーナーテスト、卵管造影検査、人工授精、体外受精、ここまでは保険診療、ここからは自費…と一気に説明されると、「ちょっと何言ってるかわかんない」状態だった。看護師が淀みなく喋るのを聞きながら、立て板に水ってこういうことかなぁとか思っている間に説明は終わった。向こうもネットで見てるでしょと思って、こんな感じになるのだろうか。最後に冊子を渡されたが、最初から、患者の手元に残るこの冊子に沿って説明してくれたら良くないですかね。「卵管造影検査は痛くありません」と強調されたことだけが印象に残っている(そのあとの診察でも言われた)。よっぽどこれまで「痛いんですか?」「痛いんですよね?」「ネットで痛いって見たんですが」と聞かされてきたのだろうと想像した。

 

看護師さんの説明から1時間半ほどさらに待つ。小説でも持ってくれば、この待ち時間は大したことはない。

 

診察

開口一番、「長い時間お待たせしてごめんなさいね〜」と白髪の混じった医師は私に謝った。話している間、視線が私と全然合わず、早口で良く動く初老の院長だ。こっちが待つの覚悟で遅くに来てるんですこちらこそ遅い時間にすみません…と心の中で謝った(現実には、「あ…いえ…」としか言えない小心者)。医者が謝ると途端に印象が良くなるのなんでだろう。

カルテに貼られた問診票を見た医者は、「あーーー、残念だったねぇ。私も家内が2回流産しててねぇ・・・残念だったねぇ」と言い、今後の見通しを早口で説明し、内診して子宮はきれいだねと見せてくれたのち、最後に「うん、前回は残念だったけど、これから頑張ろうね」と言って締め括った。

「頑張る」という言葉は難しいなと常々思っていて、「頑張る」と気合い入れても具体的にどうすればいいかわからないよなとか、「頑張ってます」とだけ言われてそれ以上突っ込めないと面倒だなとか、「頑張ってね」と伝えた相手がもうこんなに頑張ってるのに!と思ったりしてもいけないなとか、余計なことを考えてしまうのだけど、今回「頑張ろうね」と言われてみて、私自身がなんとかやっていこうと思い立ったときに、サポートされるであろう相手から言われる「頑張ろうね」は、なかなかグッとくるものだなと知った。

頑張ろうと思う。

 

来院から2時間で会計まで終了した。

 

ちなみに2回目の診察

少し早めに行ったおかげか、初回より待ち時間は少なかった。

でも、呼ばれてすぐに「内診台でお待ちくださーい」と看護師に言われ、ズボンとパンツを脱いで内診台に座って待つこと5分。

顔を合わせて診察する前に股を診る、ということに驚愕したし面白かった。

引越し先で新しい歯医者に初めて行った時、口の周りに全部布がかけられて治療され、「私はここでは人じゃない、歯だ…」と自分に言い聞かせたことを思い出した。

今回は、人としてよりも先に、お股として診てもらうのだ。なかなかすごい世界に来たのかもしれない。

もちろんそのあとにちゃんと人として話がされ、タイミングを指示されて終了した。

 

今のところ

今回のタイミングで終わっちゃうといいなと期待したが、そううまくはいかず、受診1周期目はやっぱりトイレで経血と再会した。

まあ、頑張ろうと思う。