ある日、森の中

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死産のこと7:火葬

妊娠12週目以降に胎内で赤ちゃんが亡くなった場合、“出産”し、死産届を提出する必要がある。医学的には12〜22週は後期流産とされるようだが、役所的には死産の扱いになるとのこと(NPO法人 SIDS家族の会ホームページより)。“出産”後には病院でもらう死産届を役所に提出し、役所から火葬許可書をもらって火葬を行う必要がある。

産まれた赤ちゃんに火葬・・・!? と今書いていても戦慄を覚えるが、やっていかないといけない。私たちの赤ちゃんは33週と6日だった。

私たちは、入院になった翌日に夫が赤ちゃんを預かってくれる業者に確認して、“出産”の日の翌日には病院に業者が来ることを確認していた。赤ちゃんがお腹から出てきたのが夜7時過ぎ、その夜は一緒に過ごしたけれど、疲れていたので寝てしまい、朝6時過ぎに目が覚めてから赤ちゃんを撫でたり話しかけたりしつつ、11時には業者が来るとのことだったので、慌てて棺に寝かせたりお花を飾ったりした。時間にすると、赤ちゃんが世界に出てきてから16時間くらいを一緒に過ごしたことになる。短かった。

火葬許可書を役所に取りに行くことや、火葬の予約は業者が代行してくれた。収骨の有無や火葬の希望日など伝え、赤ちゃんが入った棺を渡してしまったら、私たちにすることはなくなってしまった。

火葬は“出産”日から数えて5日後(退院の3日後)と決まった。今考えると、通常の大人の通夜・葬儀・火葬はもうちょっと短期間で行われる気がするので、期間空きすぎだっただろうか。相場がわからない。葬儀はしなかったし戒名はつけなかった。火葬までの3日間は夫と一緒に家で録画していて見てなかった映画などを見て過ごした。見たのは「シンゴジラ」「バケモノの子」など。石原さとみが可愛かった。映画見る・ご飯食べる・寝る 以外の時間はだいたい泣いていた。

小さな赤ちゃんは火葬で骨が残らないかもしれない、朝一番の火力の弱い時なら残る可能性がある…ということがネットに書いてあった。いろんな情報がネットには出ていて、こういうときにはだいぶ不安にさせられる、と実感した。もともと朝一番の予約にはしてあったが、業者のおじさんに確認したところ、私たちの赤ちゃんの大きさなら骨は残りますよ、と言われた。葬儀屋さんではないので、あまり神妙さはなく、むしろ自信のある言いっぷりだった。私だったら、「残らないこともあるかもしれませんねぇ」と予防しておきたくなるところだ。

火葬当日、おじさんが連れてきてくれた私たちの赤ちゃんは、なんと顔に霜がついていた。冷たすぎる冷凍庫に入れられていた感満載。怒ったり悲しんだりしてもいいところだったなと今は思うが、そのときはなぜだか笑ってしまった。顔に手をあてて撫でながら霜を溶かした。赤ちゃんがいなくなってしまったことが一番哀しいので、それ以上は哀しみを受け付けない感じだったのかもしれない。でも、やっぱり葬儀屋さんにお願いして丁寧に扱ってもらった方がいいと思う。もし誰かに尋ねられたらそう答える。

自信満々に骨は残るとそんな言い切っちゃってもし残らなかったら私たちに恨まれるよ・・・と思ったが、おじさんの言った通り、骨は残った。小さな骨壺が我が家の小さな棚にちょこんと収まっている。

 

火葬関係でかかった費用は、棺12,000円、業者に支払った分54,000円(骨壺、火葬許可書取得代行、火葬費用・予約 など)だった。火葬場は公営だったが、私が住んでいる自治体にはなく隣の大きな市で行ったので、市外利用ということで1~2万円高かった。

 

今振り返ると、産婦人科では業者のおじさんではなくて、葬儀屋さんを紹介してもらえると良かったなと思う。他の産婦人科を知らないけれど、連携していたりしないのだろうか。選択肢として地域の葬儀屋のリストなどがあったら頼りになった。私たちは、心の準備もなく突然亡くなったことを知って、“出産”に向けて急遽入院が始まる中で、自分たちで調べる余裕は全くなかった。今、冷静になってネットで調べてみても、赤ちゃんの火葬をやってくれることを前面に出した葬儀屋は、私が住んでいる地域ではぱっと見た感じ見つからない(東京、横浜の都市部にはあった)。ただ、葬儀屋としての儲けは少なそうだし、産婦人科は産まれてくる赤ちゃんでいっぱいいっぱいなので、そこまで求めるのは無理なのだろうか。